25の25倍までは許しましょう

堀江由衣様はぶどうの木、わたしたちはその枝である。

日経新聞の新型NintendoSwitch発売報道から見えるメディアリテラシーの欠如

2月26日の日経新聞電子版に以下の記事が掲載された。

ニンテンドースイッチ後継機、2025年3月にも発売へ - 日本経済新聞

 

また、2月27日の朝刊1面にも同様のものと思われる記事が載った。こちらを読むと、

「後継機については生産体制の構築と発売直後の販売台数を左右する有力ソフトの今後の開発情報などにより、発売が25年3月ではなく4月以降になる可能性もある」と書かれている。

 

この記事がどこまで正確なものなのか、率直に言って筆者には判断できない。今回の記事は日経新聞の独自取材によって書かれており、任天堂側は報道を肯定も否定もしていない。そして言うまでもないことだが、新型Nintendo Switchが本当はいつ発売されるのかの内部情報も持ち合わせてはいない。この場合筆者のような一般人が取るべき対応は判断を保留することだと考える。

 

日経電子版にこの記事が掲載された後、2つの反応が生じた。1つ目は新型Switchの発売日が決まったと無邪気に喜ぶもの、2つ目はとても奇妙なことに、この記事を飛ばし記事だと決めつけるものである。これはかなり非合理的な話だ。前述の通り、この記事に対して任天堂側は何もコメントしていない。それならば、この記事の内容が間違ってると断言できる根拠はどこにもないはずだ。彼等はいかなる論拠をもってこの記事をデマだと暖手したのか。

実際のツイートを引用する。

 

 

 

これらのツイートの中に、日経新聞の報道が虚偽のものであるという根拠は一つも含まれていない。更には日経側が株価操縦を仕掛けていると陰謀論まで唱えられている。ほんのわずかでも常識を働かせてみてほしい。次のような疑問が浮かんでこないだろうか。

1.任天堂経団連に所属していないことと飛ばし記事を出していいことに何の関係があるのか

2.任天堂経団連に所属していないことと株価操縦に何の関係があるのか

3.法令違反を行うリスクを取ってまで株価操縦をするメリットが日経のどこにあるのか

 

こう検討すると、「日経新聞任天堂の株価操縦を行っている」という説は、「ミシェル・オバマは実は男だった」と言っているのと変わらない、程度の低い珍説にすぎないことがわかる。これはもはや下衆の勘繰りでしかない。

 

なぜインターネットの”有識者”がこうした奇怪な発言をしているのだろうか。それはおそらく問われた記事を真面目に読まずにイメージだけで語っているからではないだろうか。

日経新聞の報道は全て正しいと思うのは愚か者だ。しかし、日経の報道は全て間違っていて、任天堂の託宣だけにこの世の真理があるのだと思い込むのもまた愚か者だ。

両者に共通してるのは メディカルメディアリテラシーの欠如である。 物事を0と1でしか考えられない、単純な二元論でしか思考力が追い付かない、だからこそテキストを吟味し検討する労力に耐えられない。それだからこそ眼の前の情報に振り回されているのである。

 

結び

ゲーマーの間にはこういう言い回しがある。

「ゲームは買って遊んでから文句を言おう」

なるほど、言いたいことはわかる。それならばこうも言えるのではないか。

「新聞も買って読んでから文句を言おう」

いや、買わなくてもいい。

ゲーマーの中にどれだけ月6500円を支払って新聞を読める知的・経済的余裕を持った人がいるかわからない。

ただそれならせめて図書館に行って記事を読もう。

見出しだけ見てあれこれ思いつきを書き込むのはもうやめよう。それは不毛なだけだ。(1825文字)